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2026.10.18

偽痛風とは?膝が急に腫れて痛む原因と痛風との違いを専門医が解説

朝起きたら膝がパンパンに腫れて熱を持っている、少し動かすだけでも激しく痛む、思い当たるケガはない――。こうした症状で調べているうちに「偽痛風(ぎつうふう)」という言葉にたどり着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。「痛風と言われたことはないのに、なぜ?」「このまま様子を見ていて大丈夫?」と不安に感じている方も多いかもしれません。

この記事では、偽痛風とはどのような病気なのか、痛風との違い、発作が起きたときに自分でできる対処法と避けたほうがよい行動、医療機関を受診すべき目安について、整形外科の視点から解説します。

偽痛風のイメージ画像

この記事でわかること

  • 偽痛風とはどのような病気か、なぜ起こるのか
  • 名前が似ている「痛風」との違い
  • 発作が起きたときにやって良いこと・避けるべきこと
  • 早めの受診が必要な危険サイン

結論から言うと、偽痛風の発作は、患部を安静にして冷やし、医療機関で炎症を抑える治療を受けることで、数日ほどで落ち着くことが多いとされています。一方で、関節が急に腫れて熱を持つ症状は、細菌感染による関節炎(化膿性関節炎)など、早急な治療が必要な病気でもみられます。特に発熱を伴う場合は自己判断で様子を見ず、早めに整形外科を受診してください。

偽痛風とは?関節で起きていること

関節にたまった「結晶」が炎症を起こす病気

偽痛風とは、ピロリン酸カルシウムという物質の結晶が関節の軟骨やその周囲にたまり、それが関節の中ではがれ落ちることなどをきっかけに、急に激しい炎症が起こる病気です。医学的には「ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD症)」と呼ばれる病気の一つのタイプとされています。関節が急に腫れて赤くなり、熱を持ち、動かすと強く痛むのが特徴です(参考:日本リウマチ学会「偽痛風」)。

膝に最も多く、高齢の方に多い

偽痛風は膝の関節に最も多く起こり、全体の半数以上を占めるとされています。このほか、足首、手首、肩、肘、股関節などにも起こることがあります。60歳以上の方に多く、男女差はあまりないとされています。肩の腱に結晶がたまって痛む病気については、当院の石灰沈着性腱板炎のページでも解説しています。

なぜ結晶がたまるのか

結晶がたまる最も大きな要因は、加齢に伴う関節の変化(変形性関節症)と考えられています。このほか、関節のケガや手術の後に起こることも知られています。比較的若い年代で発症した場合は、副甲状腺の病気など、体の代謝に関わる病気が背景に隠れていることもあるため、血液検査などで確認することがあります。膝の関節の変化については、変形性膝関節症のページもあわせてご覧ください。

「痛風」との違い

偽痛風は、症状が痛風によく似ていることから、この名前がつけられました。しかし、原因となる結晶も、起こりやすい人や部位も異なります。

項目 偽痛風 痛風
原因となる結晶 ピロリン酸カルシウム 尿酸
起こりやすい部位 膝が最も多い(足首・手首・肩など) 足の親指の付け根が多い
起こりやすい人 高齢の方(男女差は少ない) 中年以降の男性に多い
血液中の尿酸値 関係しない 高いことが多い
食事療法 必要ないとされる 尿酸値の管理が重要

痛風について詳しくは、当院の痛風のページをご覧ください。偽痛風と痛風は、関節の液を顕微鏡で調べて結晶の種類を確認することで区別されます。

偽痛風の発作時にやって良いこと・避けるべきこと

発作が治まった後も長く安静を続ける×足の筋力が落ち、歩く力の低下につながることがあります。

行動 判定 ポイント      
発作中は患部を安静にする ○ 痛む関節に体重をかけたり、無理に曲げ伸ばししたりしないようにします。      
タオルで包んだ保冷剤などで冷やす ○ 1回15〜20分程度を目安にします。直接長時間当てるのは避けます。      
早めに整形外科を受診する ○ 似た症状の病気と見分けるためにも、診察を受けることが大切です。      
発作が治まったら少しずつ動かす ○ 過度な安静を続けず、普段の生活に戻していきます。      
腫れて熱を持った関節を温める・入浴で長く温まる × 炎症が強い時期に温めると、腫れや痛みが強まる可能性があります。      
痛む関節を強くもむ・マッサージする × 炎症を起こしている関節にさらに刺激を加えることになります。      
発熱があるのに自己判断で様子を見る × 細菌感染による関節炎の可能性もあり、早急な対応が必要な場合があります。      

自分でできる対処法

以下は、医療機関で偽痛風と診断された方、または受診までの間の一般的な対処法です。発熱がある場合や、腫れ・痛みが急速に強くなる場合は、セルフケアより先に受診してください。

ステップ1:発作が起きたら「安静と冷却」

発作が起きたら、痛む関節をできるだけ動かさないようにし、タオルで包んだ保冷剤などで冷やします。膝の場合は、横になって足の下にクッションを入れ、少し高くしておくと楽になることがあります。偽痛風の急性発作は、通常1〜3日ほどで軽快するとされていますが、痛みが強い場合は我慢せず、早めに医療機関で炎症を抑える治療を受けることをおすすめします。

ステップ2:痛みが落ち着いたら「少しずつ動かす」

発作が治まったら、過度に安静を続ける必要はなく、通常の生活に戻していくことがすすめられています。膝の場合は、椅子に座って膝をゆっくり伸ばす、仰向けで膝の裏をベッドに押しつけて太ももの前の筋肉に力を入れる、といった軽い運動から始めましょう。痛みが出ない範囲で行うことが大切です。

ステップ3:関節を守る習慣をつくる

  • ウォーキングなどの軽い運動で、足の筋力を保つ
  • 適正な体重を保ち、膝への負担を減らす
  • 階段の上り下りや長時間の正座など、膝に負担がかかる動作をしすぎない
  • 発作を繰り返す場合は、その都度記録をつけて受診時に伝える

なお、痛風とは異なり、偽痛風は体の代謝の病気ではないため、特別な食事制限は必要ないとされています。ただし、たまった結晶を溶かしたり、発作を完全に予防したりする方法は現在のところ確立されていないため、発作を繰り返す場合は医師と相談しながら付き合っていくことが大切です。高齢の方の足腰の衰えについては、当院の骨粗鬆症・ロコモのページもご覧ください。

なぜそのNG行動は避けるべきなのか

腫れて熱を持った関節を温める

偽痛風の発作中の関節では、強い炎症が起きています。この時期に患部を温めると血流が増え、腫れや痛みが強まる可能性があると考えられています。慢性的な膝の痛みには温めることが向いている場合もありますが、急に腫れて熱を持っているときは冷やすことを優先しましょう。

発熱があるのに様子を見る

関節が急に赤く腫れて熱を持つ症状は、偽痛風だけでなく、細菌が関節の中に入り込んで起こる「化膿性関節炎」でもみられます。化膿性関節炎は、治療が遅れると関節の軟骨が短期間で傷んでしまうおそれがあるため、早急な診断と治療が必要とされています。偽痛風でも発熱することはありますが、見た目だけで両者を区別することは難しいため、発熱を伴う場合は特に早めの受診が大切です。

発作が治まった後も長く安静を続ける

痛みが怖くて動かさない期間が長くなると、太ももの筋肉が落ち、膝を支える力が弱くなってしまいます。特に高齢の方では、筋力の低下が歩く力の衰えや転倒のきっかけになる可能性も考えられます。発作が治まったら、無理のない範囲で少しずつ体を動かしていくことが大切です。

こんな症状があれば早めに受診を(レッドフラッグ)

以下のような症状がある場合は、自己判断で様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。

  • 関節の腫れや痛みに加えて、発熱や寒気がある
  • 腫れや赤み、痛みが急速に強くなっている
  • 痛みで体重をかけられない、歩けない
  • 糖尿病がある、免疫を抑える薬を使っている、最近その関節に注射を受けた
  • 複数の関節が同時に腫れている、手の指などにも朝のこわばりがある
  • 首の後ろの強い痛みと発熱があり、首を動かせない

首の骨の周りに結晶がたまると、首の強い痛みや発熱、頭痛を伴うことがあるとされています(参考:慶應義塾大学病院 KOMPAS「ピロリン酸カルシウム結晶沈着症、偽痛風」)。ただし、首の痛みと発熱は髄膜炎など他の重い病気でもみられるため、強い頭痛や意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、ためらわずに救急医療機関を受診してください。また、複数の関節に症状がある場合は、関節リウマチとの区別も必要になります。

仙台若林整形外科クリニックでの偽痛風への対応

整形外科専門医による診察と画像検査

当院では、日本整形外科学会専門医が、症状が出始めた時期や経過、発熱の有無、持病などを詳しく伺い、診察を行います。偽痛風では、レントゲン検査で関節の軟骨や半月板(膝のクッションの役割をする組織)に線状の石灰化がみられることがあり、超音波診断装置(エコー)でも関節内の石灰化や腫れの様子を確認できる場合があります。こうした検査結果と症状の経過をあわせて総合的に評価し、痛風や化膿性関節炎、関節リウマチなど、似た症状の病気との区別を行います。

発作後のリハビリテーション

当院には理学療法士・作業療法士・柔道整復師が在籍しており、発作が落ち着いた後のリハビリテーションを行っています。偽痛風の背景には変形性関節症があることが多いため、膝を支える筋力の強化や、関節に負担をかけにくい体の使い方の指導を通じて、日常生活の動作を保つことを目指します。

通いやすい環境

若林区エリア最大規模となる約180坪の院内で、駐車場は250台を完備しています。膝が痛くて歩くのがつらい方も、お車で来院しやすい環境です。日曜・祝日も診療しています(金曜・土曜は休診)。膝の痛み全般については、「膝の痛み」のページや、階段の上り下りで痛む膝の原因に関する記事もあわせてご覧ください。偽痛風の病気の解説は偽痛風の疾患ページにもまとめています。

まとめ:関節が急に腫れたら、まずはご相談ください

偽痛風は、ピロリン酸カルシウムの結晶によって関節に急な炎症が起こる病気で、高齢の方の膝に多くみられます。発作時は安静と冷却を心がけ、発作が治まったら少しずつ体を動かしていくことが大切です。一方で、関節が急に腫れて熱を持つ症状は、化膿性関節炎など早急な治療が必要な病気でもみられるため、特に発熱を伴う場合は自己判断せず、早めに整形外科で評価を受けることをおすすめします。

ご予約・お問い合わせ

監修者情報

仙台若林整形外科クリニック 院長
日本整形外科学会 専門医
院長のプロフィールは院長・スタッフ紹介をご覧ください。


参考文献

仙台若林整形外科クリニック

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