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2026.10.24

膝に水がたまる原因は?「抜くとクセになる」は本当か専門医が解説

膝が腫れてブヨブヨする、膝のお皿のまわりが張って曲げにくい、正座ができなくなった――。こうした症状から「膝に水がたまる」状態になっているのではと気になっている方も多いのではないでしょうか。「水を抜くとクセになると聞いたけれど本当?」「病院に行くべきか迷っている」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、膝に水がたまる仕組みと主な原因、「抜くとクセになる」という話の真偽、自分でできる対処法と避けたほうがよい行動、医療機関を受診すべき目安について、整形外科の視点から解説します。

膝に水がたまって悩んでいる女性の画像

この記事でわかること

  • 膝に水がたまる仕組みと、考えられる主な原因
  • 「水を抜くとクセになる」という話は本当なのか
  • 膝が腫れているときにやって良いこと・避けるべきこと
  • 早めの受診が必要な危険サイン

結論から言うと、膝に水がたまるのは、膝の中で何らかの炎症が起きているサインと考えられています。水を抜くこと自体がクセになるわけではなく、原因となる炎症が続いているために再びたまる、と考えるのが一般的です。大切なのは、水がたまる「原因」を見極めることです。特に、急に腫れて熱を持っている場合や発熱を伴う場合は、早めに整形外科を受診してください。

膝に水がたまるとは?膝の中で起きていること

「水」の正体は関節液

膝の関節は、関節包(かんせつほう)という袋に包まれており、その中には関節液(滑液:かつえき)と呼ばれる少量の液体が入っています。関節液は、関節の動きをなめらかにする潤滑油の役割や、軟骨に栄養を届ける役割を担っています。

膝の中で炎症が起きると、関節包の内側にある滑膜(かつまく)という組織から関節液が多く作られ、通常よりも多くたまってしまいます。これが一般に「膝に水がたまる」と呼ばれる状態で、医学的には「関節水腫(かんせつすいしゅ)」といいます。

水がたまると起こりやすい症状

  • 膝のお皿のまわりが腫れて、ブヨブヨした感じがある
  • 膝が張って重だるく、曲げ伸ばしがしにくい
  • 正座やしゃがむ動作がつらい
  • 膝の裏が張る、ふくらみを感じる

膝に水がたまる主な原因

膝に水がたまる原因はひとつではありません。年齢やきっかけ、腫れ方によって、考えられる病気が異なります。

原因 特徴 起こりやすい人・きっかけ
変形性膝関節症 立ち上がりや歩き始めの痛みとともに、水がたまりやすい 中高年、特に女性に多い
偽痛風 急に腫れて熱を持ち、激しく痛む 高齢の方に多い
半月板損傷・靱帯損傷 引っかかり感や、膝が動かなくなる感じを伴うことがある スポーツ中のケガ、ひねる動作
関節リウマチ 両膝や、手指など複数の関節が腫れる 30〜40歳代の女性に多いとされる
化膿性関節炎 急な腫れ・熱感・強い痛みに、発熱を伴うことが多い 糖尿病の方、免疫を抑える薬を使っている方など
膝蓋前滑液包炎 膝のお皿の前側だけがぷっくり腫れる(関節の外の腫れ) 床に膝をつく作業が多い方

中高年の方に最も多いのは「変形性膝関節症」

中高年の方で膝に水がたまる原因として最も多いのは、膝の軟骨がすり減ることで炎症が起こる変形性膝関節症です。日本整形外科学会も、変形性膝関節症の主な症状として膝の痛みと水がたまることを挙げています(参考:日本整形外科学会「変形性膝関節症」)。詳しくは当院の変形性膝関節症のページをご覧ください。

急に腫れた場合は「結晶」や「感染」も考える

思い当たるきっかけがないのに、急に膝が腫れて熱を持った場合は、関節の中にたまった結晶が炎症を起こす偽痛風や、頻度は低いものの痛風の可能性があります。偽痛風については偽痛風と痛風の違いを解説した記事でも詳しく紹介しています。また、細菌が関節に入り込む化膿性関節炎は、早急な治療が必要な病気です。

ケガの後や、複数の関節が腫れる場合

スポーツ中などに膝をひねった後から腫れてきた場合は、半月板損傷や靱帯損傷が考えられます。両膝や手の指など、複数の関節が同時に腫れる場合は、関節リウマチとの区別も必要になります。なお、膝のお皿の前側だけが腫れる場合は、関節の中ではなく、関節の外にある袋が炎症を起こす滑液包炎の可能性もあります。

「水を抜くとクセになる」は本当?

「膝の水は一度抜くとクセになるから、抜かないほうがいい」という話を耳にしたことがある方は多いと思います。しかし、一般的には、水を抜くこと自体が水を増やす原因になるわけではないと考えられています。

水がたまるのは、膝の中で炎症が起きているためです。水を抜いても炎症が治まっていなければ、再び関節液が多く作られてたまります。そのため、「抜いたらまたたまった」という経験から「クセになる」と受け止められてきたと考えられます。

整形外科では、必要に応じて注射器で関節液を抜く処置(関節穿刺:かんせつせんし)が行われることがあります。たまった水を抜くことで膝の張りや痛みが和らぐことがあるほか、抜いた関節液の色や濁り、結晶の有無などを調べることで、原因を見分ける手がかりになります。水を抜くかどうかは、症状や原因に応じて医師が判断しますので、気になることがあれば遠慮なく相談してください。

膝に水がたまったときにやって良いこと・避けるべきこと

正座や深くしゃがむ動作を続ける×膝を深く曲げる姿勢は、関節への負担が大きくなります。「抜くとクセになる」と考えて受診を避ける×原因の病気が見逃され、治療が遅れる可能性があります。

行動 判定 ポイント
腫れが強い間は膝への負担を減らす ○ 長時間の歩行や階段の上り下りを控えめにします。
急に腫れて熱を持っているときは冷やす ○ タオルで包んだ保冷剤で、1回15〜20分程度を目安にします。
痛みの出ない範囲で太ももの筋肉を動かす ○ 膝を支える筋力を保つことが、膝の負担の軽減につながります。
原因を調べるために整形外科を受診する ○ 原因によって適切な対処が異なるため、まずは診察を受けることが大切です。
赤く腫れて熱を持った膝を温める × 炎症が強い時期に温めると、腫れや痛みが強まる可能性があります。
腫れた膝を強くもむ・マッサージする × 炎症を起こしている関節にさらに刺激を加えることになります。

自分でできる対処法

以下は、発熱がなく、急激な腫れや強い痛みがない場合の一般的な対処法です。行っている途中で痛みや腫れが強くなる場合は中止し、医療機関にご相談ください。

ステップ1:腫れが強い時期は「負担を減らす」

膝が腫れて張っている時期は、長時間の歩行や階段の上り下り、重い物を持つ動作などを控えめにし、膝への負担を減らします。急に腫れて熱を持っている場合は、タオルで包んだ保冷剤などで冷やすと楽になることがあります。横になるときは、膝の下に薄いクッションを入れると楽な姿勢をとりやすくなります。

ステップ2:痛みが落ち着いてきたら「太ももの筋肉を動かす」

  • 膝裏押しつけ運動:仰向けまたは足を伸ばして座り、膝の裏で床やベッドを押すように力を入れて5秒ほど保ちます。太ももの前の筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)が硬くなるのを確認しながら行います。
  • 脚上げ運動:仰向けで片方の膝を立て、もう片方の脚を伸ばしたまま、床から10cmほど持ち上げて5秒ほど保ちます。

いずれも反動をつけず、痛みの出ない範囲で、1日に数回から行ってください。日本整形外科学会も、変形性膝関節症の日常生活での注意点として、太ももの前の筋肉を鍛えることを挙げています。

ステップ3:膝を守る生活習慣を身につける

  • 正座や和式トイレなど、膝を深く曲げる姿勢を避ける
  • 適正な体重を保ち、膝にかかる負担を減らす
  • 慢性的な膝の痛みでは、冷やしすぎず、入浴などで温めて血行を保つ
  • ウォーキングなど、膝に負担の少ない運動を続ける

これらは膝への負担を減らす可能性がある取り組みとして紹介されていますが、水がたまる原因によって適切な対処は異なります。セルフケアを続けても腫れが引かない場合や、何度も繰り返す場合は、原因を確認するためにも医療機関にご相談ください。足腰の衰えが気になる方は、当院の骨粗鬆症・ロコモのページもご覧ください。

なぜそのNG行動は避けるべきなのか

赤く腫れて熱を持った膝を温める

急に腫れて熱を持っている膝の中では、強い炎症が起きています。この時期に温めると血流が増え、腫れや痛みが強まる可能性があると考えられています。一方、慢性的な膝の痛みでは、温めて血行を良くすることがすすめられる場合もあります。「急に腫れて熱い」ときは冷やす、「慢性的に重だるい」ときは温める、と使い分けることが大切です。

正座や深くしゃがむ動作を続ける

膝を深く曲げる姿勢では、関節の中の圧力が高まり、膝への負担が大きくなると考えられています。水がたまっている状態で正座を続けると、張りや痛みが強くなるだけでなく、炎症が長引く要因になる可能性もあります。

「抜くとクセになる」と考えて受診を避ける

水がたまる原因の中には、偽痛風や化膿性関節炎のように、早めの治療が必要な病気も含まれます。特に化膿性関節炎は、治療が遅れると短期間で関節の軟骨が傷んでしまうおそれがあるとされています。「水を抜かれたくないから」と受診をためらうと、原因の病気を見逃してしまう可能性があるため、まずは診察を受けて原因を確認することが大切です。

こんな症状があれば早めに受診を

以下のような症状がある場合は、自己判断で様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。

  • 膝の腫れに加えて、発熱や寒気がある
  • 膝が赤く腫れて熱を持ち、急速に悪化している
  • 痛みで体重をかけられない、歩けない
  • ケガの後から腫れてきた、膝が急に動かなくなった・引っかかる
  • 糖尿病がある、免疫を抑える薬を使っている、最近その膝に注射を受けた
  • ふくらはぎが急に腫れて痛む

ふくらはぎの急な腫れや痛みは、膝の裏にたまった液体の袋が破れた場合のほか、足の静脈に血の塊ができる病気(深部静脈血栓症)でもみられることがあります。見た目だけでは区別が難しいため、このような症状がある場合も早めに医療機関を受診してください。

仙台若林整形外科クリニックでの膝の腫れへの対応

整形外科専門医による診察と画像検査

当院では、日本整形外科学会専門医が、腫れ始めた時期やきっかけ、発熱の有無、持病などを詳しく伺い、診察を行います。レントゲン検査で軟骨のすり減りや骨の変化、石灰化の有無を確認するとともに、超音波診断装置(エコー)を用いて、関節にたまった水の量や滑膜の炎症の様子、膝のお皿の前の腫れが関節の中か外かなどを観察します。こうした検査結果と症状の経過をあわせて、水がたまる原因を総合的に評価します。

膝を支える力を取り戻すリハビリテーション

当院には理学療法士・作業療法士・柔道整復師が在籍しており、症状や生活スタイルに応じたリハビリテーションを行っています。膝だけでなく、股関節や足首を含めた脚全体の動きを評価し、太ももの筋力強化や、膝に負担をかけにくい立ち上がり方・歩き方の指導を通じて、水がたまりにくい膝の状態を目指します。

膝が痛くても通いやすい環境

若林区エリア最大規模となる約180坪の院内で、駐車場は250台を完備しています。膝が腫れて歩くのがつらい方も、お車で来院しやすい環境です。日曜・祝日も診療しています(金曜・土曜は休診)。膝の痛み全般については「膝の痛み」のページ、階段で痛む膝については階段の上り下りで痛む膝の原因に関する記事もあわせてご覧ください。

まとめ:膝の腫れが続くときは、原因を確かめるためにご相談ください

膝に水がたまるのは、膝の中で炎症が起きているサインと考えられています。水を抜くこと自体がクセになるわけではなく、原因となる炎症が続いていると再びたまるため、大切なのは原因を見極めることです。中高年の方では変形性膝関節症が多い一方で、偽痛風や化膿性関節炎など、早めの治療が必要な病気が隠れている場合もあります。急に腫れて熱を持っている場合や発熱を伴う場合、腫れが何度も繰り返す場合は、自己判断を続けずに整形外科で評価を受けることをおすすめします。

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監修者情報

仙台若林整形外科クリニック 院長
日本整形外科学会 専門医
院長のプロフィールは院長・スタッフ紹介をご覧ください。


参考文献

仙台若林整形外科クリニック

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